ご存知の方も多いと思いますが、最近、Twitterと呼ばれるサービスが話題になっています。ジャーナリストや作家、芸能人だけでなく、政治家や大学教授、有名企業のトップも次々に始めています。今回は、このTwitterの人気の秘密は何か、また、ビジネスで活用できるのか、今後のメディアのあり方にどのような影響があるのかを考えて行きたいと思います。
【Twitteとは何か】
ミニブログとも呼ばれているTwitterは、140文字以内の「つぶやき」をサイトに書くだけのサービスです。つぶやいた内容は、「フォロー」という形で登録された相手に伝わります。何万人ものフォローを受けている有名人もいます。逆に、相手をフォローすると、そのつぶやきがリアルタイムに自分のパソコンの画面に表示されます。誰をフォローするか、やめるかは全く自由です。140文字という短い文章では何も伝わらないのでは、とお考えの方も多いと思いますが、140文字という制限が逆にTwitterの魅力になっています。限られた文字数で詠む俳句に似たところがあります。
最近は、ブログが普及して情報発信がずいぶん楽になりました。しかし、ブログを書くためには、テーマを考えてタイトルを決めて、文章の構成をして推敲を行うなどの手間がかかります。それに対して、Twitterは、思いついた内容をそのまま書ける手軽さがあります。Twitterは、「今どうしてる?」という問いかけに対して、140文字の入力エリアに文字を書きこむだけです。Twitterは、その場で思い付いた内容を忘れないうちに即座に打ち込むことができます。
【Twitterの何が良いのか】
Twitterの最大の特長は、リアルタイム性です。特に、iPhoneなどのスマートフォンで利用できるようになってから、いつでも、どこでも情報が発信できる環境が整いました。Twitterのリアルタイム性を世界に知らしめたのが、昨年の1月に起きたハドソン川の旅客機不時着事故でした。フェリーで偶然通りかかった人が、iPhone上のTwitterから発信した写真入りの情報が事故の第一報となりました。個人が発したニュースが、テレビやラジオなどの既存のメディアよりも早かったということが話題になりました。
また、Twitterを使ってセミナーの内容を放送するということも良く行われています。講師の話した内容がリアルタイムでパソコンに流れてくるために、あたかも、セミナーに出席したかのような臨場感を味わうことができます。先日は、宜野湾市長との懇談の様子を国会議員がTwitterで中継していました。テレビやラジオのニュースより情報を早く入手することができます。
【Twitterの活用】
このリアルタイム性は、仕事に生かすこともできます。自分と似たテーマに興味を持った人や同じ分野の職業の人をフォローしていると、共通のテーマの情報が滝のように流れてきます。また、直近の情報を調べるには、過去の膨大なデータから検索するGoogleよりも、有利な場合があります。たとえば、新型インフルエンザの最新情報を入手したい時などに有効です。
Twitterをビジネスに応用して成功したのは、DELLです。DELLはアウトレット商品や新商品の情報をTwitterで配信して300万ドルも売り上げています。また、Twitterを使って商品についてのユーザーの要望などを引き出して、マーケティングを行っている企業もあります。
Twitterは、メッセージを非公開にもできますので、メール代わりに使うことができます。また、新聞、天気予報、地震速報、書籍紹介などの情報提供サイトも情報を発信していますので、Twitterを見ているだけでワンストップで広い範囲の情報を収集することができます。
【Twitterは何をもたらすのか】
インターネットが普及を始めて、WWWと呼ばれていたWebサービスが出てきたときに、人々は、誰でも情報を自由に発信できる環境が整ったと熱狂しました。しかし、情報リテラシーの壁は厚く、長い間、ネットで発言できるのは限られた人たちでした。Twitterは、この壁を非常にシンプルな方法で取り去ってくれました。Twitterはインターネットの理想を実現に近づけたツールとも言えると思います。
今年に入って、アマゾンの電子ブックの売上が紙の書籍の売上を超えたという話題や、アップルが電子ブックを読むためのパソコンを開発したという話題がTwitterで盛り上がりました。有料の電子ブックだけでなく、ネット上には、著作権が切れた何千冊もの書籍が公開されていて、明治の文豪が書いたほとんどの作品は、iPhoneなどの携帯端末で無料で読むことができます。グーテンベルクが活版印刷を発明してから500年以上になりますが、その間に、人類は膨大な知識を書物に蓄積してきました。最近は、その知識が電子メディアへ急速に移行されています。Twitterがネットへのアクセスの敷居を低くしたことで、このメディア革命が加速されると考えられます。
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